最後の力を振り絞って憧れの高校へ行こう
人から同じ話を繰り返し聞かされるうちにすっかり内容を覚えてしまう、というのは誰しも経験があるだろう。
今日は私が父から何度も聞いた他人の名言をここに記しておこうと思う。
「ふん、お前のために避けてやったんじゃないんだ」
誰:現場仕事の移動中に運転していた同僚
何:別の目的で停車すると脇道から合流したがっていた車に割り込まれた
「食べられるよ」
誰:横浜のお年寄り
何:浜辺を訪れた若き日の父が貝をとっているお婆さんに「バアさん、それ食えるんけ?」と尋ねて返ってきた台詞。地方出身の父は高齢者が東京弁を話すギャップに驚いたあとツボにはまった
「悪いこともえーせんしからのう」
(訳:悪事なんてそんなこと、とてもじゃないけどできませんよ)
誰:昔の高校生
何:父の高校時代、ヤンチャしてる生徒が自分たちについて語った台詞。寝言は寝て言え
「スイカ嫌いよ!腹壊す!」
誰:大昔、父の職場にいた上司
何:皆でスイカを食べることになり、部下からすすめられて放った一言
「ジュースいらん!水の方がええ」
誰:同上
何:皆でお茶休憩をすることになり、上司の奥様からジュースを出されて放った一言
「利彦、もうこらえてくれや…」
誰:父の友人、利彦(仮名)の父親
何:若き日の父はバンドマンであった。夜遅くまで利彦の家でメンバーが楽器をかき鳴らす行為に耐えかねた父親は疲労困憊で懇願した。利彦は無視した
「わ〜い、おみやげおみやげ」
誰:父の友人
何:何か嬉しいことがあった時に発されたフレーズ。元ネタがあったような気がするが忘れた
「あれ、みんな飲まないの?飲めばいいのに」
誰:父の先輩
何:若き日の父が現場仕事のアルバイト中に先輩が「何か冷たいものでも飲もう」と言った。父を含む若者たちは奢ってもらえると解釈して「わーい飲もう飲もう」とこぞって自販機へ。先輩は自分のジュースだけを買って一人で飲み干した。呆然とするアルバイト達を不思議そうに見ながら放った一言
「通る!!」
誰:父の兄が通った高校の教諭
何:父の兄が○○大学を受験しようと思う、と相談するなり飛び出た力強い言葉。そして実際に合格した
「最後の力を振り絞って憧れの○○高校へ行こう」
誰:父の中学時代のクラスメイト
何:卒業文集のテーマは夢(目標)であった。あまり成績が芳しくない彼の作文はこのフレーズで締めくくられていた。ちなみに○○高校はまったく進学校ではない
また思い出したものがあれば追記していきます。父の出会った人々よ、貴方たちが何気なく放った言葉は時を超えて今も生きています。見も知らぬ私の中で。